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『先』と云うこと。
こんにちは。
今回は、「先」と云うことの意味について書いてみます。
引用は、我が国際連盟の代表である江坂静厳先生が、平成3年に江坂道場の館員のために書かれた教育資料「居合道の栞」の中からです。
三つの先(みっつのせん) 居合(剣道)では機先を制することを「先をかける」という。
「先をかける」に三つの場合 があり、「先の先」、「先」、そして「後の先」である。これを三つの先という。
(一) 先の先(せんのせん)又は先先の先(せんせんのせん)
- 両者相対したとき、互いに斬突しようとする意志をもっている。この意思を一つの先という。
この場合自分は、相手の意志の動きを早くみぬいて、相手がまだ調子が整わず動作を起こさないうちに、または動作を起こそうとするところを先に斬突する。
これを「先の先」または「先先の先」という。相手が技をしかけようとする「におい」(気配い)を早く感じとり、その起こりを斬突するもので正確な判断のもとに、機先を制し、果敢に身を捨てて切り付ける心構え、気構えが肝要である。
(二) 先(せん)
- 両者相対したとき、相手が自分の隙をみとめて、切りつけてきたときに、相手の意志をあらかじめ知って、相手の動作の効を奏さないうちに先に勝ちを制する。
これを「先」といい、または相手からもかかり、自分からもかかり、相対抗して勝ので「対の先」ともいう。
心の統一をはかり、身体の調子を整え、相手の意志を早くみぬき、常に先の気合いで攻撃的な気分をもって切り付ける心構え、気構えが肝要である。
(三) 後の先(ごのせん)
- 両者が相対したとき、相手が自分の隙をみつけて、切り付けてくるときに、自分はあらかじめ相手の技を知って、打ち落とし、または応じ返したりして、相手の技を無効にして、相手が気勢をはばまれたり、心身が委縮した瞬間に、切り付けて勝ちを制する。
これを「後の先」という。攻める「先」の気合が肝要なること前期と同じである。
この三つの「先」の理解がないと、所謂”仮想敵”を十分に想定出来ないものです。
初心者の 時にこれを良く理解させないと、何時まで経っても相手の居ない「刀の踊り」になりがちです。
正坐の一本目「前」は『先の先』の業ですが、一刀一足の間合い(約五尺)に対坐する相手はとても近く、一緒に抜き合ったのではこの「前」の理合いは永遠に理解の外です。
もう一度、原点に返って業の一つひとつがどの「先」の業なのかを確認してみましょう。
2013/09/12 国際連盟ブログ より再掲
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