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居合初心者心得ー2
こんにちは。
引き続き「居合初心者心得」のご紹介を続けましょう。
十六、 附込みの斬り込みは十分大きく振冠りて打下す事。
但し二度目の斬込みにて仕留むる形なるを以て、一回目は幾分浅く二度目は深く斬り込む事。十七、 浮雲の打下しは左膝の左方になし、左膝に並行す。
十八、 颪の柄当は、左腕を十分延ばす事。
十九、 鱗返、浪返は、両足先は殆ど其儘の位置にて、抜きかけつゝ廻り 刀先を抜き放ち一文字に斬り付けると同時に左足を後方に退く事。
二十、 介錯、附込、岩浪、の場合に刀を前に抜き出す時、顔は俯向かず正面に向ける事。
二十一、霞の甲手を返して前進する場合は、腰を少しも屈めず、十分腹を出す事。
二十二、四方切の場合、左右に刀をかえして雙手上段になる時の刀は、十分大きくなし、敵刀を摺り上ぐる心持にて行ふ事。
二十三、棚下の場合、顔は俯向く事無く正面の敵に向けたるまゝ、上体を低く十分前に深く入り込みて抜く事。
二十四、両詰は、十分に大きく深く刀を前方の敵に突込む事。
二十五、寅走の前方に進みての納刀、及び惣留の進みつゝ斬捨てたる時の納刀は、元迄一気に入れる事。
二十六、立膝、居業の納刀の際に於て、前足の退き付けは十分腰に気力を注ぎ 前足に体重を掛ける気味合ひにて退き付ける事。
二十七、早抜きの納刀は元迄一気に納める事。
二十八、抜打、真向、暇乞、の場合は刀を刀を抜き取て頭上に振冠りつゝ上体を起すと同時に、両爪先に力を入れ踵を十分に後方に退き(両膝を後方に退く)て、次に正面に打下す場合上体を前に乗り出すに備ゆる事。
二十九、早抜(立膝も)の終つた時の自分の位置は、最初坐したる位置とあまり変らぬ様注意する事。
三十、 居合は単に敵を斬突するを最後の目的とするにあらず、総て動静を重んじ、聊かも気の弛み無く、動作肚で抜き、肚で斬り、肚で納める、所謂気海丹田満つるを要とす。
かくして錬磨の功を積み、其の姿勢態度動作円熟し、天地正大の気おのづから生ずる気の位ひを得て 常に泰然自若、而も一旦発しては忽ちにして雲を呼び、風を起こすの大動力、大霊力を養ふを以て至極とし、総じて形に捉はるゝ事なく(業形より入りて 業形を脱す)、臨機応変、敵に依って転化する無礙自在の精神を鍛錬するを以て本旨とするものなり。
以上これで「居合初心者心得」のご紹介を終ります。
最後の三十、含蓄のある言葉が散りばめられていますね。
しかし、注意しなければなりません。総じて形に捉はるゝ事なく、の件です。
その前段にある事が出来ての形に捉わるゝ事無くなのであって、よく見掛けるのは基本のキの字も出来ないのに、自己流を正統化する方々です。私を含めて当流に関わる殆どの方々は如何したらこの素晴らしい正統正流英信流の業を錬磨稽古し伝承していくのかを真面目に考えなくてはらないのではないでしょうか。
次回は、この「74年前の著書」から思いつくままに興味深い文章をご紹介してまいります。お楽しみに。
2013/08/30 国際連盟ブログ より再掲
World MJER Iaido Federation
© 正統正流無雙直傳英信流居合道国際連盟