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「居合道真諦」
こんにちは。
これから、何回かに分けて、河野百錬先生 著『居合道真諦』の中の幾つかをご紹介して行こうと考えております。この本は、昭和37年(1962年)4月3日に非売品として出版されたもので、現在では非常に入手が困難な本ではないでしょうか。
内容の全てをご紹介するのは難しいので、今回は23ページから書かれている「大日本居合道 無雙直傳英信流嘆異録」を何回かに分けてご紹介して行きます。
一、業の理合ひの事
居合の最早や相当出来て居る人の中に まだ業の理合ひを十分に会得して無い者を多々見受けるが居合をヤルには先ず業の理合ひを十分に理解してから修練をなすべきで 自分が今ヤッテ居る業は如何なる場合ひに、如何なる敵に応じた刀法であるかをハッキリ認識して行ふ事が最も大切な事である。
二、抜き付けの事
居合の真生命とする所は最初の抜き付け(斬払い)である事は云迄も無い。にも不拘、刀を鞘から抜き出してしまってから斬付ける人を見受けるが之は無意味で、どこ迄も鯉口の放れ際はの一瞬に斬付けねばならぬ。又た抜付けた刀が、目的に向って最も適切に且つ最も有効に働いて居るか否やを、自分自身がハッキリとつかむ事が肝要である。
◎正座、初本の如く、一文字に抜き付ける場合ひに、抜出しの最初から刀身を九十度にカヤシテ抜き付ける人があるが之は誤りである。飽迄で刀の棟をスラシつつ徐々に刀をカヤシて抜き付けるのが正しい。
◎正座、初本の抜きかけの柄頭は、体の中心から敵の中心に向けて抜くのが正しい。にも不拘、右拳を左の腰の方に押し進め右肘を前に出して抜きかけたり、剣先三寸まで抜いてからさらに右手を体の左方に移して抜刀するのを見受けるが、之は何れも刀刃の有効範囲を認識せぬ者の間違った抜き付けで、特に右肘を敵前に出す事は不用意の甚だ敷いものである。
◎抜刀の時、両足の爪先を立てずに抜きかけ、抜きつけた時始めて後足の爪先を立てる者を見受けるが、之は大きな誤りである。即ち如何なる業でも、抜きかけて腰を浮かすや直ちに両爪先を立てることが、抜刀の肝要な根本原則である。即ち常に安定した体勢を元として、抜刀することが大切である。
今回は此処までといたします。ほぼ、原文に忠実に掲載させていただいております。昔も今も同じような過ちや自己満足が有ったようですね。
横一文字は何と言っても正統正流の極め付きの業です。とても難しく、途中で挫折し合理化して違うものになって行く過程を沢山見掛けます。居合はある意味で物理ですが、河野先生がおっしゃる通り、何故そうなるのかを良く頭で考えて日々の稽古に向き合いたいものです。
2013/06/21 国際連盟ブログより再掲
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