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身体の寸法ー2(間合い)
こんにちは。
身体の寸法の2回目は、正坐の間合いについて考えてみたいと思います。
仮想敵を想定した居合の稽古は概ね一人稽古になる訳ですが、唯一相手を於いて稽古するのが所謂「形稽古(太刀打之位)」です。
形稽古の解説に河野百錬先生はこう書き記されています。
- 居合道図譜より・・・
- 形は之に依りて姿勢を正確にし、眼を明らかにし、技癖を去り、太刀筋を正しくし、動作を機敏軽捷にし、刺撃を正確し、間合いを知り、気位を高め、気合を錬るなど甚だ重要なるものなり。
- 形は之に依りて姿勢を正確にし、眼を明らかにし、技癖を去り、太刀筋を正しくし、動作を機敏軽捷にし、刺撃を正確し、間合いを知り、気位を高め、気合を錬るなど甚だ重要なるものなり。
まだ続きますが、今回はここまでとさせていただき、同じ形稽古の解説の「坐礼」に、
・・・静かに進み約五尺を隔てゝ対坐す。
とある、この五尺が「一刀一足の間合い」になる距離と云う訳です。
五尺、約1m50㎝、一度この距離を正確に測って線を引き、距離感を実感されることをお勧めします。
但し、この想定された距離は、私を含めた1m60~70㎝位の身長が基本になっていて、身長の大きな人の想定される一刀一足の間合いは違ってきますので、ご注意ください。
線上の座り方は、線が両爪先に触れる位置に立ち、そのまま正坐します。
膝が線より前に出ます。一本目「前」で横一文字を斬った時、左足の爪先が線上に来ます。
正坐しているときは、線が自分の体の側面のほぼ中央に来ている筈です。
何故、この距離が一刀一足の間合いなのか、身体の寸法で考えてみます。
「前」の業は、先の先の業です。
相手の害意を此方は察して、先に仕掛ける、先の先です。
この時此方は斬付けているものの、相手はまだ動作の途中です。
前回の寸法の通り、斬付けた脚の間隔は二歩足、私の場合は約85㎝でした。
左の爪先から踏み出した右足の爪先までが約85㎝、斬付けて相手に刀が届かんとする右手は概ね右肩の前で、右爪先の前、約一拳です。
肩から刀を持っている右手親指の又迄約55㎝位でしたから、右の拳は右爪先前約10㎝位。
この右手に刀があり、長さは約70㎝位切先はほぼ左肩前方に在る筈です。
想定した線に在る左爪先から左前方の切先までの距離は約1m50㎝位になっています。
居合は物理だと依然申し上げましたが、実に上手く業が構成されています。
此方の仕掛けに乗じて、相手は動作を起こしていて、抜きかけて爪先立ちになる処であれば肩の辺り、柄に手が掛ってこれから抜きかける処であれば顔面か首筋の辺りに此方の刀の物打が届いている距離です。
居合の間合いは、日常生活の距離感よりも相当に近い感じがして、戸惑うばかりです。
居合の間合いに相手が(人間が)いると、実に生々しくて日常生活には、特に現代人には少々ウルサくて疲れる距離感です。
しかし、居合に関わった以上、この間合いを知らなくては業になりません。
是非、この居合の距離感を日々の稽古の中に取り入れていただき、相手が見える演武を心掛けてみたいものです。
次回は立ち技の一刀一足を考えてみます。
2014/3/3 国際連盟ブログ より再掲
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